コンテンツへスキップ →

なぜ大事な時に初心者に戻るのか? チョーキングについて

よくイップスが話題になりますが、これは心理的なものではないと言われています。確かに、ここぞというところでびびってダーツ が投げらなくなるような人がダーツ のトッププロになれるとは思えないですし、他のスポーツのイップスの症状をYoutubeで観ると、リラックスした状態でもなる人はなってますね。そうすると、相手も含めて観ている人がいるような試合だと入らなかったり、練習でも180を決めたい三本目を大外しするのは、心理的なものが影響していると考えられるので、イップスではないと思われます。イップスの症状は深刻だと思いますが、心理的なものの方に困っている人のほうが人数的には多いのではないかと思います。

心理的なものは関係無いという強いプレイヤー、良い成績を残しているプロの人は多いと思いますが、無いと感じるぐらいの精神的な強さを持っているから、プレッシャーがかかったところでもミスが少なく、強くて成績を残していると考えたほうが良いと思います。プレッシャーでだめだったなんていうトッププロはいませんよね。勝負の世界に住んでいる強いプレイヤー、良い成績を残しているプロの精神構造・勝負に対する集中力・考え方を、私のような生ぬるい世界の人のものと一緒にしてはいけません。メンタルは関係ないと言う人がいても私は否定しません。そういう人はいるのです。子供の頃から動じない傾向を持って大人から可愛げがないとか言われて、常に過激な刺激を求めていた人たち。偉大なことを成し遂げるか犯罪に手を染めるかになる可能性が高いそうです。是非、前者になっていただきたい。

実のところ、ちゃんと膨大なデータを元に研究してる人達がいて、(以下受け売りですが、)プレッシャーによるパフォーマンス低下は誰にでもあります。強い人は、影響が少なくて、本人も周りも無いと思うのです。チャンスに強くて、チャンスにだけ普段以上のパフォーマンスができる人は統計的に見ると存在していません。ただ、できることができる確率が高いのです。プレッシャーがかかった場面でのパフォーマンスが、普段のパフォーマンスに非常に近いわけです。しかし練習で何回やってもできそうになかったことが、重要な局面でだけできるという奇跡みたいなことは、映画か脚色された事実を除いてはないのです。(以上受け売りです。)  私のような人は、プレッシャーのかかった場面でのパフォーマンスと普段のパフォーマンスの乖離が大きいので心理的な影響で起こることに向き合っていかないと、練習で上手くはなっても、大事な一投を大外しすることは克服できないと思うのです。

それでは心理的な影響で外したりするのは、イップスではなくてなにかというと、チョーキングという言葉があります。チョークとも言います。この言葉のこの意味では、8 Mileというエミネムの伝記映画で、舞台に立ったアマ時代設定のエミネムが緊張のあまり声がでなくなっていまうことをからかって、観衆が「チョーク、チョーク」と言ってるのを聞いたのが私にとっては最初でした。黒板のチョーク(Chalk)ではありません、プロレスの反則のチョーク(Choke)です。窒息という意味です。緊張してすくんでしまうことチョーク、症状をチョーキングと言っているようです。

イップスと比べてチョーキングはあまり重要視されていないように思います。ただプレッシャーに弱いとか精神的な弱さということから、軽視されているか、認めたくない背景と、強いプイレヤーには実際に問題として捕らえられていないことから、あまり問題視されていないのではないかと想像しています。

Wikipedia で Choke(Sports)というページがあったので概要を書いておきます。めちゃくちゃ端折ってますので詳しく知りたい場合にはこのページ(英語)を見てください。


要約 Wikipedia Choke(Sports)

チョーキングというのはスポーツでここぞというときに、いつものパフォーマンスができないことです。緊張すると、身体的、精神的に変化を感じるので、やり方を変えたり、慎重になりすぎたりして失敗するのです。そして、アンラッキーで片付けられることもありますが、自信を失いパニックに陥り、普段できていることができなくなっているのです。チョーキングは筋肉の緊張、不安の増大、自信の喪失を起こして選手をイライラさせます。不安になってネガティブになるとチョーキングを引き起こすのです。

どうしてチョーキングが起こるのかいくつか仮説があります。

1.チョーキングが起こる原因

1.1.明示監視理論

完璧にやろうとするあまり、技術を意識しすぎたり、一つ一つのステップに分解してコントロールしようとしてバラバラになります。

1.2.注意散漫理論

しなくてもいい心配や、みんなの期待や不安感で、やろうとしていることから注意がそれてしまう。この理論はすばやい分析や判断に使われる脳の働きが阻害されるということからも裏付けられています。

1.3.自分注目理論

注意が動作の実行に移ることによってパフォーマンスが低下します。プレッシャーが動作の一つ一つに注目させチョークを起こします。

1.4.プロセス効果理論(PET)

心配が、選手の注意を結果や失敗に向かわせます。心配により集中できなくなります。

1.5.注意制御理論 (ACT)

ストレスとプレッシャーは、ゴールに向かうよりも刺激に反射するようにしてしまいます。

1.6.注意閾値モデル

注意閾値モデルでは、パフォーマンスは、注意力の限界を越えると低下するとしています。

2.寄与因子

チョーキングの因子は責任感、期待、準備不足、自信、身体的・精神的欠陥、ゲーム・その場の重要性、相手の動作です。

2.1.負の評価に対する恐れ FNE

FNEはプレッシャーが高くなるほど増加する特徴があります。それは他からの評価や自分に対する期待についての心配させます。FNEは失敗を避けようとする動機のようなものです。他者からのネガティブな評価を避け、間違いを避け、他のプレイヤーと比べて悪いとされたくないからです。否定的な比較を避けようとするのです。

2.2.観客の存在

両親、コーチ、メディア、スカウトの存在はチョーキングを起こします。アスリート達は観られているときにベストを示し、ミスをしないようにしようとして、プレッシャーを高めてしまいます。

2.3.自信

自信がありすきぎると、すぐにネガティブに転じることがあります。よくないなにかが起こらないことを願うことはチョークを起こします。自信がなさすぎると、何もできないと思うのでもっとミスします。
ワンさんと、まーちゃんとさんと、モリスとギブスさんの研究では、意識が高い人は、パフォーマンスが低いことが分かりました。意識が高い人は、「右足出したっけ」とか「間違えたら笑われるかな」が気になってしまいます。意識が低い人はそういう意識にとらわれないので集中できます。

要約は以上。


チョーキングを克服するにはどうするかというと

・こころ構えを変える

・場数を踏む

ということになると自分では思っています。

「こころ構えを変える」については、上に書いたようになぜチョーキングが起こるのか分かっておくことや、受け入れることはパニックを防ぐのに大切な一歩だと思いますが、それでもなかなかこころ構えを変えることができません。分かっただけでできたら、誰でもプロ並みの集中力が持ててしまいます。そうはなりませんね。私の場合は、これまでもよくツイッターで書いてますけど、樋口プロから直接聞いて分かってきました。もともと調べていたことが実際に投げることに繋がって、そういうことかと思いました。今でも教えがすっ飛ぶ時はありますが、以前よりダーツ がまとまるようになってきたと思います。技術に詳しい方のお話を聞くのもよいと思いますけど、なんで力んでいるのか見抜けるような方から直接話を聞くことはとても大事だと思います。

(当初この記事を書いたとき(2018年7月)に樋口プロから聴いたことはかけませんでしたが、最近(2018年9月)この動画で公開されてましたので是非ご覧下さい。)

「場数を踏む」に関しては、外や対戦で惨敗すると、もっと練習しなくてはということで、引き籠り体制に入りがちですが、場数を踏んで、自分の心理状態を振り返ってまたやってみることは大事だと思います。あのテイラーでも浅田プロでもテレビのバラエティーに出演したときは外すのですから、状況に慣れておくというのは誰にとっても重要だと思います。場数を踏むには相手(犠牲者)が必要なので遠慮してしまいますが、オンライン対戦やバーで、どんな上手い人でも自分もが下手なことが理由でキレられたり切られたりしたたことは一度もありません。マナーとか知らなくても、教えてくれるので一度までは大丈夫?だと思います。多分。勝とうとするのが基本だけど「ぜんぜん勝てない人がいるとかわいそうだから、自分が出て行くかなーしょうがない。」ぐらいの優しい気持ちの人(エンジョイ勢というのかな)がいてもいいと思います。そのうち上手く、強くなるでしょう。

参考文献【中古】 プレッシャーなんてこわくない 誰でも本番で勝てるメンタル強化術 /ヘンドリー・ウェイジンガー(著者),J・P・ポーリウ・フライ(著者),高橋早苗(訳者) 【中古】afb383円送料別

カテゴリー: 心理

コメントは受け付けていません。